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世界経済フォーラムとERM、未公開市場の人的資本による価値創造の報告書を公表。財務への効果の測定を業界の次の課題に挙げる
世界経済フォーラムとERMは2026年9月30日、未公開市場の投資家が人的資本を価値創造にどう生かしているかを調べた報告書「The People Premium: Human Capital as a Driver of Value Creation in Private Markets」を公表した。北米、欧州、アジア太平洋、中東で、開示資産が計4兆ドル近くに上る20社超の主要な投資会社へのインタビュー、アンケート、多者間の議論をもとにまとめた。報告書は、人的資本が価値創造の重要な源泉と認められつつある一方、その効果を投資の過程に組み込み、測定し、帰属させる共通の方法が業界にないと指摘する。
扱うテーマは、投資前の人的資本のデューデリジェンス、取得後の価値創造、測定と帰属、AIによる労働力の変革、地域の文脈の5つ。ファンドの人的資本による価値創造の成熟度は、「事後対応型(Reactive)」「予測型(Predictive)」「適応型(Adaptive)」「システム型(Systemic)」の4段階で示した。最初の事後対応型は人的資本をコストやリスクの要因とみる段階で、最も進んだシステム型は、人的資本を個社を超え投資家のプラットフォーム全体で投資可能な資産とみて、効果を帰属できる施策を価値創造のモデルに組み込む。
投資前の段階について、報告書は、CEO以外も含めた人的資本の評価が投資判断を構成する手法の一つになりつつあり、成熟した投資家ほど経営陣の質や経営幹部より下の組織の能力、後継者を、投資成果を予測する手がかりとして深く評価するようになっていると述べた。取得後は、投資家の間の差が最も出るのは取得時より保有期間中で、人的資本の取り組みが個々の投資先を超え、プラットフォーム全体の制度化されたプログラムに広がっているとした。
報告書によると、投資家は人的資本が企業価値に大きく寄与すると一貫して強調するが、エグジット時にその財務的な影響を切り分けたり定量化したりできる投資家は少ない。エグジット時に人的資本の施策による価値創造の割合を定量化しているか、主な人的資本投資の回収期間を計算しているかとの問いには、アンケートに回答した投資家のほぼすべてが、していないか、分析の有無が分からないと答えた。報告書は、完全な帰属のモデルを待たずに人的資本の能力へ投資するよう投資家に提言し、優先すべきこととして、エンゲージメントや離職などの先行指標を一貫して追う仕組みづくりと、保有期間を通じてその指標を価値創造計画と結び付けることを挙げた。
AIについては、投資家がデューデリジェンスや要員計画、生産性の向上にAIを使いつつ、AIを使う組織に必要な能力やリーダーシップのモデルなどを見直しているとした。報告書は、投資先がAIをどれだけ効果的に導入しているかに加え、AIが重要な人材の供給の流れ、特に将来の経営者の後継を支える中間管理職の層をどう変えるかも評価するよう投資家に求めた。地域については、人的資本の手法は地域や所有の構造、投資戦略を越えてそのまま移せず、先進的な組織は世界で一貫した目標を保ちつつ実行を地域の実情に合わせているという。
報告書は、今後の協働と研究が必要な優先分野に、成熟した人的資本プログラムの特徴の定義、人的資本による価値創造を定量化する共通の方法の構築、エグジット時に人的資本の成果を検証する独立した基準の確立、AIがリーダーの育成の流れと組織設計をどう変えるかの検討の4つを挙げた。
【報告書】世界経済フォーラム「The People Premium: Human Capital as a Driver of Value Creation in Private Markets」
【参照サイト】世界経済フォーラム「The People Premium: Human Capital as a Driver of Value Creation in Private Markets」
【参照サイト】ERM「WEF/ERM report: The People Premium – Human Capital as a Driver of Value Creation in Private Markets」
画像:Editorial credit: Drop of Light / Shutterstock.com
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Springl編集部
サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。














