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環境省、自然環境保全基礎調査の50年分を総合解析した報告書を公表。シカや特定外来生物の動物の分布が全国で拡大

環境省生物多様性センターは2026年10月5日、「緑の国勢調査」とも呼ばれる自然環境保全基礎調査の50年分の成果を使って国内の自然の現状と移り変わりを総合的に解析し、「自然環境保全基礎調査総合解析とりまとめ報告書」として公表した。調査開始50年目の2022年度を機に、2023年度から2025年度にかけて、基礎調査の成果にほかの自然環境や人文社会学の調査データも組み合わせて解析した。解析の詳しいデータは、2026年度中に公開する予定だ。

基礎調査は、自然環境保全法第4条に基づいて環境省が1973年から行っているもので、野生動植物の分布や、干潟、藻場、サンゴ礁、湿地、植生などの生態系を調べる。報告書の第1部は、動植物の分布と生態系の特徴、その変化を説明した。第2部では、政策決定者が使うことを想定し、従来の保全策や最近の施策に関わるテーマを、基礎調査のデータで分析した。

動物では、特定外来生物に指定された種類が過去30年で全国に急速に広がった。2024年7月時点で指定されていた植物以外の143種類を対象に、各年までに見つかったことのある種類の累計を数えると、全国で1990年以前の19から、2022年までに41へ増えた。分布が広く確認された種類には、アライグマ、ヌートリア、アカミミガメなどがある。

中大型哺乳類のシカ、イノシシ、クマ類なども1970年代から分布域を拡大し、とりわけシカは全国で大きく広がった。鳥類では、ミソサザイ、カワラヒワ、ヒヨドリなどの越冬期の分布が北へ広がっており、環境省は要因のひとつに温暖化が考えられるとした。

生態系では、1979〜1998年と1999〜2023年にそれぞれ整備した植生図を比べた。報告書は、新旧の植生図は作り方や凡例、図化の精度が違い、面積の集計結果を単純には比べられないと注記している。森林(植林を含む)は新しい植生図で260,170km2と国土の約70%を占めた。前の期間から微増したものの、大きな変化はなかった。同じ比較で、マツ林は43.5%減り、人が火入れや草刈りをして主に維持してきた二次草原のススキ草地は48.4%減った。草原全体は9,573km2から8,035km2へ減ったが、図化の精度が上がって見かけの面積が増えた分に打ち消され、実際の減少は小さく見積もられている可能性があるという。

動物が移動しながら使う生息地のつながり(連続性)を、1990年代以前と2000年代以降とで比べると、森林は大きな変化がなく、草原と湿地では下がった。草原に住む動物にとって、草原全体に占める連続した草原の割合は4ポイント程度下がった。報告書によると、耕作地が湿地や草原に代わる生息地として働けば、連続性の向上に役立つ可能性がある。

第2部では、自然共生サイトや保安林・遊水地による重要な地域の保全の状況と、太陽光発電施設と自然環境の関わりも取り上げた。報告書は、既存研究のデータから太陽光発電施設の適地とした範囲が、環境省が選んだ生物多様性を守るうえで重要な地域と非常に広い範囲で重なっていたことから、開発計画の際に十分な配慮が求められると指摘した。報告書は基礎調査の課題として、回ごとに方法や対象種、地域が異なり、年をまたいだ比較が難しい場合が多いことも挙げた。

【報告書】環境省「自然環境保全基礎調査総合解析とりまとめ報告書の公表について」
【参照サイト】環境省生物多様性センター「自然環境保全基礎調査 総合解析 とりまとめ報告書 本編」
【参照サイト】環境省生物多様性センター「自然環境保全基礎調査 総合解析 とりまとめ報告書 概要版」
【参照サイト】環境省生物多様性センター「自然環境保全基礎調査総合解析の概要」

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Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。