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マレーシア首相府法務局、企業向け人権デューディリジェンスの手引きを公表。進め方を6つのステップで示す

マレーシア首相府法務局(BHEUU)は2026年10月6日、企業向けの人権デューディリジェンス(人権DD)の手引き「Human Rights Due Diligence Guide for Businesses in Malaysia」を同局のサイトで公開した。規模や業種を問わず、マレーシアで事業を行う企業が方針や事業、取引関係に人権への配慮を組み込むための実務の手引きで、同局が主導する「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAPBHR)2025〜2030」の取り組みの1つとして作られた。

手引きは、別建ての遵守の仕組みを新たに設けるものではなく、リスク管理や調達、苦情・内部通報の仕組みといった既存の業務の過程に人権DDを組み込むよう企業に促す。既存の法令や方針などを補う実務の参考資料で、適用されるマレーシアの法的要件と合わせて読むものとした。人権DDは、法令の遵守を土台に、取引関係を通じて生じうるリスクなども先回りして特定し、対処するよう促すものだと説明する。

想定する企業は、零細・中小企業(MSMEs)、大企業や上場企業、政府系企業、多国籍企業などで、業種も製造、農業、金融サービスなどを挙げた。手引きは比例的で柔軟な手法を取り、すべての措置を同じように行うことや、規模や能力に見合わない複雑な仕組みを企業に求めない。ただし、比例的な人権DDは、小規模な企業が何もしなくてよいことを意味しないと明記した。

進め方は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」と経済協力開発機構(OECD)の責任ある企業行動の枠組みをもとに、6つのステップで示した。①人権尊重の約束を方針と管理の仕組みに組み込む、②人権のリスクと影響を特定・評価する、③影響を防止・軽減し、対処する、④実施と結果を追跡する、⑤影響への対処の仕方を伝える、⑥適切な場合に是正を提供するか、是正に協力する、の6つで、状況の変化に応じて繰り返すものとしている。

影響は、UNGPsに沿って、害の重大さ、影響を受ける人数、元の状態に戻すことの難しさで深刻度を評価する。すべての影響に同時に対処できない場合は、起こる可能性も必要に応じて考慮しつつ、最も深刻な影響を優先する。ただし、害が深刻または元に戻せない場合は、起こる可能性が低いことを理由に、優先度を自動的に下げないよう求める。企業の関わり方は、影響を「引き起こす」「助長する」「取引関係を通じて直接関連している」の3つに分け、サプライヤーを直接管理していないからといって、行動する責任がないと考えるべきではないと説明する。

是正については、社内の方針の修正、サプライヤーとの取引の打ち切り、監査、苦情案件の終了だけで、人権への負の影響に完全に対処したとみなすべきではないとした。害を受けた人がいる場合は、適切な救済が実際に提供されたか、その提供が後押しされたかを検討するよう企業に求める。

サステナビリティ報告の要件の対象となる企業については、人権DDの情報が国家サステナビリティ報告枠組み(NSRF)のもとでの開示などにも役立ちうるとした。一方で、人権DDを単なるESG報告の作業として扱うべきではなく、主な目的は人への害を防ぎ、対処することにあると付け加えた。手引きには、自己評価のチェックリストや人権方針のひな形など、企業が選んで使える6つの道具も収めた。

【発表資料】マレーシア首相府法務局「HUMAN RIGHTS DUE DILIGENCE GUIDE FOR BUSINESSES IN MALAYSIA」
【参照サイト】マレーシア首相府法務局「Penerbitan」

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Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。