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国際労働機関、マレーシアのゴムのサプライチェーンについてのブリーフを公表。採用に伴う強制労働リスクなどを指摘
国際労働機関(ILO)は2026年10月7日、マレーシアのゴムのサプライチェーンについてのブリーフ「Mapping the rubber supply chain in Malaysia」を公表した。主な関係者や輸出の状況、日本とのつながりを整理し、ディーセント・ワークの面の課題と、労働ガバナンスや責任ある企業行動の強化に向けた機会を検討した。
マレーシアのゴム産業は、天然ゴムの栽培と樹液の採取(上流)、一次加工(中流)、製造(下流)にまたがり、天然ゴムと合成ゴムの両方を生産する。主な製品には、ゴム手袋、タイヤ、コンドーム、カテーテルなどがある。
ブリーフは、日本の大手多国籍企業がタイヤや手袋の製造などでこの産業に長年進出していると記し、このサプライチェーンを日本の製造業のサプライチェーンの重要なつながりと位置づける。主な関係者の例示には、政府機関や労働組合などに加え、Japanese Chamber of Trade & Industry Malaysia(JACTIM)と日本貿易振興機構(JETRO)も並ぶ。
ブリーフは、サプライチェーン全体でディーセント・ワークの欠如が続いているとし、採用に関連する強制労働のリスク、過度な長時間労働、労働安全衛生上の危険などを挙げて、移住労働者が特にさらされていると指摘する。低賃金、労働者の代表の弱さ、実効性に乏しい苦情処理の仕組みも課題とし、賃金の低さは上流で特に深刻だと述べた。こうしたなかで多くのゴム栽培者は、ほかの作物も植えて収入を補っており、その作付けは政府の融資や補助金などの支援を受けることが多い。ブリーフは、人権デューデリジェンス(HRDD)が企業と規制当局の課題として重みを増すなか、こうした労働面の不備に向けられる目が厳しくなっているとも指摘した。
採用については、マレーシアへの移住では高い採用費用(関連費用を含む)が一般的で、多くの移住労働者が多額の借金を抱えると説明する。約束と異なる仕事や条件に直面する欺瞞的な採用や、人材あっせん業者に対する使用者のデューデリジェンスの不足が、それに拍車をかけているという。
ブリーフによると、マレーシア初の「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAPBHR)2025-2030」の導入を受けて、人権への影響について、より高い水準の責任を企業に求める期待が高まっている。行動計画は拘束力をもたないが、労働の分野には企業が実施する項目があり、デューデリジェンスの評価や、労働者が積極的に参加する苦情処理の仕組みの整備が含まれる。
ブリーフは、これらの課題への対応を、マレーシアのゴム産業にとっての戦略的な機会と位置づける。関係者の能力の向上と業界内の協力の拡大を支えに、労働ガバナンスを強め、企業慣行をより責任あるものにすれば、事業の成長を促しつつ、業界の長期的な評判と国際競争力を高める可能性があるとみる。
ILOは2026年6月、マレーシアのゴムのサプライチェーンで責任ある企業行動とディーセント・ワークを支えるプロジェクト「RISSC-II」を始めた。日本の厚生労働省が資金を出し、期間は2029年5月までの36か月。
【報告書】ILO「Mapping the rubber supply chain in Malaysia」
【参照サイト】ILO「ILO brief: Mapping the rubber supply chain in Malaysia」
【参照サイト】ILO「Resilient, Inclusive & Sustainable Supply Chains (RISSC-II Malaysia)」
この記事を書いた人
Springl編集部
サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。














