ニュース / AI

AI国際

米カリフォルニア州知事、AIだけに頼る懲戒・解雇を禁じるSB 947に署名

米カリフォルニア州知事室は2026年9月30日、ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事が労働者と消費者を保護する新法に署名したと発表した。雇用主が人工知能(AI)だけに頼って懲戒や解雇を決めることを禁じ、大量解雇や移転、雇用の終了がAIシステムによって生じた場合は、その旨を示すよう雇用主に求める。職場のトイレでの監視ツールの使用も禁じる。

懲戒と解雇の決定を扱うのは、ジェリー・マクナーニー(Jerry McNerney)上院議員が提出したSB 947だ。同議員の発表によると、名称は「No Robo Bosses Act of 2026」で、自動意思決定システム(ADS)と呼ばれるAIシステムだけに頼った労働者の解雇や懲戒を、カリフォルニア州の雇用主に禁じる。ADSを解雇や懲戒の決定の補助に使うときは人による監督と検証が義務になり、雇用主は、解雇や懲戒の決定でのADSの使用を労働者に知らせる必要もある。執行には、州の労働コミッショナー、州司法長官、または地方の検察官があたる。

知事室の発表の法案一覧には、技術による職の置き換え(technological displacement)の通知を題に掲げるSB 951(エロイーズ・ゴメス・レイエス上院議員)と、職場監視を扱うAB 1331、AB 1883も並ぶ。知事の署名メッセージによると、AB 1331はトイレでの監視ツールの使用を制限し、AB 1883は監視ツールによる労働者の神経データの収集と、感情の状態の予測を禁じる。

知事はこのメッセージで、あいまいな点と起こりうる意図しない結果に対処するため、この2法をさらに整えるよう議会に促した。例として、AB 1331は従業員が施錠された施設に入るためのシステムの妨げになる可能性があり、AB 1883は主要な定義を欠くため、どのツールが対象になるかで混乱を招く可能性があると指摘した。

同日に署名した法案は発表の一覧で13本あり、労働以外の分野にも及ぶ。医療では、患者のケアにAIなどの臨床判断ツールを使うときも、医師や免許を持つ医療提供者が自らの専門的判断を使えるようにする。電子透かしの削除の禁止、California AI Transparency Actの強化、遺伝子合成企業に安全指針の順守を求める法も含まれる。

発表は労働分野の新法について、AIによる混乱の可能性に労働者と企業を備えさせる知事の行政命令を土台に、職場の人々をAIや自動化技術、AIを使った職場監視の影響から守るものと説明する。知事は同じ月に、AIシステムとモデルの安全性とリスクを評価する独立検証機関の枠組みを設けるSB 813にも署名した。

発表にコメントを寄せたカリフォルニア労働組合連盟(California Federation of Labor Unions, AFL-CIO)のロレーナ・ゴンザレス(Lorena Gonzalez)会長は、SB 947、SB 951、AB 1331、AB 1883の4法案に触れ、「カリフォルニア中の労働者が、職場のAI規制で州が先頭に立つことを求めてきた」と述べた。

【プレスリリース】カリフォルニア州知事室「California’s nation-leading AI framework just got stronger, Governor Newsom signs more first-in-the-nation worker protections and more」
【参照サイト】カリフォルニア州知事室 AB 1331・AB 1883の署名メッセージ(PDF)
【参照サイト】ジェリー・マクナーニー上院議員「Newsom Signs McNerney’s No Robo Bosses Act of 2026 Requiring Human Oversight of AI in the Workplace」

この記事をシェア

この記事を書いた人

Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。