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WHO欧州地域事務局、域内の保健・介護分野で女性の時給は年齢などを調整する前の平均で男性より19%低いと分析

世界保健機関(WHO)の欧州地域事務局は9月18日、WHO欧州地域の保健・介護分野の男女の賃金格差を分析した報告書「Gender pay gap in the health and care sector in the WHO European Region: evidence brief」を公表した。同分野の女性の時給は男性より平均で19%低く、月収では28%低い。女性は同分野の就業者の77%近くを占める。

報告書は、2023年の欧州連合の所得・生活状況統計(EU-SILC)の32か国の個票データを中心に、国際労働機関(ILO)とWHOが2022年にまとめた報告書のデータで補い、WHO欧州地域の53か国のうち43か国を対象とした。残る10か国はデータがなく、職種や年齢、人種・民族などによって格差がどう違うかも、データの不足で十分には分析できなかった。賃金格差の推計は、主に35か国について、各国で入手できる最新年のデータを使い、各国の賃金を受け取る雇用者の数で重み付けした。19%は年齢や学歴などの違いを調整する前の平均の差で、中央値では14%となる。ほかの分野の男女の時給の差は平均13%(中央値11%)で、保健・介護分野より小さい。

時給の格差は賃金が高くなるほど広がり、分布の下のほうにある第1十分位では2%だが、上位10%の境目にあたる第9十分位では23%近くに達する。報告書によると、上位ほど格差が広がる傾向は保健・介護分野に限らず、経済のほとんどの分野にみられる。保健・介護分野で時給の分布の最上位層に女性が占める割合は55%にとどまる。

年齢や学歴など4つの要因を調整すると、時給の格差は19%から6%に、月収の格差は28%から10%に縮むが、これらの要因で格差のすべてが説明できるわけではない。時給の格差を、説明できる部分とできない部分に分けた別の分析では、賃金の上位層の格差のほぼすべてが、年齢や学歴、職種などの違いで説明できない。報告書は、説明できない部分について、女性の多い仕事が構造的に低く評価されていることや、賃金の決め方に性別による偏りがあることと整合するとの見方を示した。説明できない部分は、データで捉えられない特性も含むため差別の直接の証拠とはいえないが、観察できる労働者や仕事の違いでは上位層の格差の大半が説明できないことを示すとした。

保健・介護分野の管理職は、他の分野の管理職より女性の割合が高く、男女を合わせた平均時給は22.00ユーロと、他の分野の同等の職の24.70ユーロを下回る。報告書によると、専門職や技術職でも、女性の割合が高い職ほど、求められる資格や責任にかかわらず賃金が一貫して低い。

同事務局によると、域内の就業者の約10%を占める保健・介護分野での賃金の不平等は、人材の採用と定着や、上級職・指導的立場に就く女性の数に影響し、保健医療体制にも波及する。域内の加盟国には、男女の賃金格差の報告の義務化、性別や職種、人種・民族ごとの賃金データの収集と公表、同一賃金の法律の強化と執行・監視など5つを求めた。残る2つは、女性を賃金の高い上級職から遠ざける構造的な障壁を取り除くことと、保健・介護の仕事の価値を見直すことだ。同事務局の保健システム部門ディレクターのナターシャ・アッツォパルディ・ムスカットは「解決するのが複雑な問題ではなく、意志の問題だ」と述べた。

【報告書】WHO欧州地域事務局「Health workers earn less if they are women」
【参照サイト】WHO欧州地域事務局「Gender pay gap in the health and care sector in the WHO European Region: evidence brief」
【参照サイト】WHO欧州地域事務局「Gender pay gap in the health and care sector in the WHO European Region」

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Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。