ニュース / AI
マイクロソフト、既存の予報モデルの偏りを機械学習で補正し、2〜6週間先の天気予報を改善する手法を公開
マイクロソフトの研究部門Microsoft Researchは10月14日、2〜6週間先の予報を良くするため、気象予報モデルの過去の誤りから学んで補正を助ける機械学習の枠組み「Probabilistic Bias Correction(PBC)」を発表した。手法を示した論文は同じ日に科学誌Natureに掲載され、PBCのプログラムはオープンソースで公開されている。
同社によると、物理モデルもAIモデルも約10日先まではよく当たるが、2〜6週間先では誤差の積み重なりなどで苦戦する。PBCは新しいモデルを作らず、既存のモデルの過去の予測から系統的な偏りを見つけて補正する。
欧州中期予報センター(ECMWF)は2025年8月、2〜6週間先の予報の競技会「AI Weather Quest」を始めた。マイクロソフトと社外の研究者のチームはPBCを使った予報で、最初の3か月に6つの主要な予報センターと34チームを上回り、すべての気象要素で、何日先の予報でも首位となった。論文では、ECMWFが運用で偏りを補正しているモデルにPBCを当てはめると、予測対象のうち降水量の98%、気温の92%、気圧の91%で性能が上がった。ECMWFのAI予報システムに当てはめると、もともと高くなかった2〜6週間先の精度が2倍になった。
発表によると、ケニア気象局が今回の雨季に週ごとの予報を更新する際、試行中のPBCが大雨や少雨の可能性を見極める助けになっている。PBCを試した同機関の主任気象官の1人は、大アフリカの角と呼ばれる地域で、試したほかのどの手法より予報が良くなったと述べ、大雨と少雨の期間の予報精度の向上を次の段階に挙げた。ただし発表は、生育期は始まったばかりで、初期の報告が有望に見える段階だとする。
マイクロソフトはPBCの応用を探る取り組みの例として、AI予報を担う部門Microsoft Weatherが最長6週間先までの予報を週ごとに出す「S2S」モデルを挙げる。いまは一部の顧客に試験用に公開している。同社は、2〜6週間先の予報が良くなれば、農業や山火事への対応、水とエネルギーの配分などの判断が改善すると説明する。
【プレスリリース】Microsoft Research「New AI framework bridges a critical gap in mid-range weather forecasts」
【参照サイト】Nature「Advancing subseasonal forecasting with machine learning」
この記事を書いた人
Springl編集部
サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。














