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九州大学、AIで食品・飲料340社の有価証券報告書を分析。社会面の開示が環境面より相対的に厚く、GHG排出の開示も拡大
九州大学の研究グループは、日本の食品・飲料の上場企業340社が2020〜2024年に出した有価証券報告書をAIで読み、業種ごとに財務上重要なESG課題をどこまで扱っているかを評価した。社会面の課題の開示が環境面やガバナンス面より相対的に厚く、2022年以降は温室効果ガス(GHG)の排出を筆頭に開示が広がった。論文は9月16日に学術誌「Corporate Social Responsibility and Environmental Management」のオンライン版に載り、同大学が9月25日に日本語で、10月19日に英語で発表した。
評価には、財務や企業価値に影響しうるサステナビリティ課題を業種別に整理したSASBの基準を使った。延べ1,623件の報告書を、課題との意味の近さで0〜1に採点するAIモデル「TMPT」で照合した。例えば、削減した排出量をトン数で示した記述は、カーボンニュートラルに向けて取り組むという一般的な表明より点が高くなる。
社会面では「販売慣行・製品表示」「製品品質・安全」のような、消費者に身近な課題を重く扱っていた。環境面の開示は多くの業種で限られ、エネルギー管理のようにSASBが重要とする課題でも十分に書かれていないものがあった。2022年以降の伸びはGHG排出がいちばん大きく、人的資本とサプライチェーン管理が続いた。
2021年の開示の水準が近いプライム市場と非プライム市場の企業を組み合わせて比べると、2022年以降のGHG排出の開示の伸びはプライム市場の企業で統計的に有意に大きかった。研究グループによると、東京証券取引所がプライム市場の企業にTCFDなどに沿った気候関連の開示の充実を求めるようになったことと整合する結果だ。ただし、この要請は一律の法的義務とは異なり、コーポレートガバナンス・コードによるコンプライ・オア・エクスプレインの方式だと注記した。社会面とサプライチェーン管理の伸びには、プライム市場の企業だけの上積みは見られなかった。
TMPTが測るのは開示と重要課題の対応度で、研究グループは今後、記載の深さや信頼性の評価にも取り組む計画だ。
【プレスリリース】九州大学「AIで「財務的に重要なESG情報」を読み解く」
【参照サイト】九州大学「AI helps reveal what sustainability issues companies emphasize」
【参照サイト】九州大学「AI で「財務的に重要な ESG 情報」を読み解く ~日本の食品・飲料企業の有価証券報告書を分析、2022 年以降の開示変化を明らかに~」
【参照サイト】Corporate Social Responsibility and Environmental Management「Do Firms Disclose Financially Material ESG Risks? Evidence From Japanese Food and Beverage Firms Using a Text Match Pretrained Transformer」
この記事を書いた人
Springl編集部
サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。














