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欧州証券市場監督局、2026年度の執行重点事項を公表。上場企業の気候変動と自社の労働者のESRS開示を各国当局が重点点検
EUの金融市場を規制・監督する欧州証券市場監督局(ESMA)は10月13日、欧州経済領域の規制市場の上場企業の2026年度の年次財務報告について、欧州共通の執行重点事項を公表した。IFRSの財務諸表、ESRSに基づくサステナビリティ報告、電子形式での報告の3分野で重点を示した。ESMAと各国の執行当局は審査でこれらの分野に特に注意を払い、重要な虚偽表示が見つかれば各国の執行当局が執行措置をとる。
ESMAによると、2026年度はサステナビリティ報告に使う基準の移行の年にあたる。欧州委員会の委任規則により、企業は当初のESRS(Set 1)の改正版、簡素化したESRS(Set 2)、Set 1の改正版に委任規則が定めるSet 2の軽減措置を加えたもの、のいずれかを使える。ESMAは、どの版を使ったかを明らかにするよう求めた。
サステナビリティ報告の1つ目の重点は、重要性の評価の改善を続けること。ESMAは、ダブルマテリアリティ評価でプラスとマイナスのインパクトを同じ厳格さで評価するよう促した。プラスのインパクトをマイナスより詳しく開示する企業があり、利用者に偏りのない姿を十分に示せないおそれがあるとして、インパクトの重要性の閾値は、特にプラスとマイナスで異なるものを使う場合に、明確に開示するよう求めた。インパクト・リスク・機会の特定や評価の開示は、自社の事業と上流・下流のバリューチェーンの両方を対象にする必要があるとした。
2つ目の重点は、インパクト・リスク・機会、方針・行動・目標、指標の情報をつなげて開示すること。すべてのテーマに当てはまるが、気候変動と自社の労働者は成熟度が高いことから、2026年度はその開示を各国の執行当局が重点的に点検する。温室効果ガスの削減目標が排出量の算定範囲の全体を対象にしていなければ説明が必要で、重要なインパクト・リスク・機会に方針・行動・目標がなければ、その事実を開示しなければならない。
目標については、測定可能で期限があり成果志向の目標と、その進捗の開示を求めた。当年度が期限の目標を達成できなかったり取り下げたりした場合や、期限までに達成できないと考える場合は、その事実を開示する必要がある。「科学的根拠に基づく」「1.5度」に触れながら、目標がそれらに当たるか、どう当たるかを明示しない企業も見られ、利用者の誤解を避けるため改善が必要だと指摘した。
重点事項とは別の留意事項では、以前に設定した2030年の目標を達成できないと明らかになりうるとし、その際の速やかな開示が重要だとした。2026年度にSet 2を使っていない企業には、2027年度の報告をSet 2で作る準備を求めた。
財務諸表では、地政学リスクと不確実性、リストラクチャリング引当金と債務再編の2つを重点とし、電子形式での報告では持分変動計算書のタグ付けでよく見られる誤りを挙げた。ESMAは、企業や監査人などに、重要性と事業への関連性を踏まえて推奨事項を適用するよう求めた。
【プレスリリース】欧州証券市場監督局「ESMA sets out 2026 European Common Enforcement Priorities」
【参照サイト】欧州証券市場監督局「Statement on the European common enforcement priorities for 2026 corporate reporting」
この記事を書いた人
Springl編集部
サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。














