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気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク、監督当局向けガイド2026年版を公表。自然関連リスクの記述を拡充

気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)は2026年9月21日、銀行と保険会社の健全性監督に気候・自然関連リスクを組み込むための監督当局向けガイドの2026年版を公表した。2020年5月27日の初版を改訂した。

改訂版は、自然関連の金融リスク、移行計画、気候シナリオとストレステスト、気候関連の訴訟リスクや開示枠組みなどについて、最新の監督実務を取り入れた。2020年版と比べて、自然関連リスクをより詳しく論じ、適応策などが物理的リスクの重要性を左右する役割にも、より注意を払う。提言は2020年版を手直しした5つで、監督当局に、リスクが経済と金融に波及する経路の把握、戦略と体制・資源の整備、監督対象のエクスポージャーの特定と生じうる損失の評価、監督上の期待の設定と点検、金融機関のリスク管理の確保と必要に応じた監督上の措置を勧める。

ガイドは、気候関連の金融リスクを、自然関連の金融リスクの一部と位置づける。自然関連リスクは、気候関連のリスクと、生物多様性の損失や水質の汚染などから生じるそれ以外の幅広いリスクを含む総称として使い、後者を環境リスクとも呼ぶ。両者を切り離すと、規模や持続性、実体経済と金融システムへの波及を過小評価するおそれがあると指摘する。

健全性規制の3つの柱のうち、第1の柱(主な金融リスクの区分ごとに、標準化した最低所要自己資本を定める柱)では、気候以外の自然関連の要因が、水ストレスなどにさらされた借り手の債務不履行リスクを通じて算定に間接的に影響しうるが、こうした環境リスクを明示的に対象とする資本要件は今のところない。ガイドは、第2の柱を、自然関連リスクに対応しうる現時点の主な仕組みと位置づける。監督当局は、重大な脆弱性やリスク管理の不備を見つけた場合に、是正措置を求めたり、正当な理由があれば第2の柱のもとで追加の資本要件を課したりする場合がある。

移行計画について、NGFSは、金融機関が気候関連のリスクと機会を管理する戦略をつくり、実行し、更新し続ける過程を「移行計画の策定」、その結果を示すものを「移行計画」として区別する。監督では計画に加えて策定の過程にも目を向けることが多いとし、計画の信頼性はそれを支えるガバナンスやリスク管理の過程に左右されると説明する。

ガイドの作成でNGFSが2026年初めに行った調査には、加盟国の70%にあたる67の監督当局が回答した。回答した当局のうち、気候関連に加えて自然関連リスクも考慮していると答えたのは約40%で、何らかの自然関連リスクのエクスポージャー分析をしているのは17(26%)だった。気候シナリオ分析やストレステストを使う当局は、2020年の限られた利用から、2026年には調査対象の73%に広がった。ガイドは、示した実務をすべての国・地域で一斉に行うことも、同じ水準で行うことも想定していないが、監督対象の金融機関の体制が限られることや規模が小さいことは、その気候・自然関連リスクが重要でないことを必ずしも意味しないと指摘する。

NGFSは今後、気候と自然を組み合わせたシナリオを含め、気候・自然関連リスクの相互作用を評価する手法をさらに開発する。

【報告書】NGFS「Guide for supervisors: Integrating climate and nature-related risks into prudential supervision」
【参照サイト】NGFS「NGFS publishes 2026 Guide for Supervisors on climate and nature-related financial risks」

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Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。