ニュース / 情報開示・制度

情報開示・制度国際

GHGプロトコル、Scope2で時間単位のマッチングなどの方式を推奨し、現行方式も未定の期日まで認める方向

温室効果ガスの排出を測り管理する基準を作るGHGプロトコルは10月16日、Scope2の算定の改定について進捗を公表した。独立基準委員会(ISB)は9月の会合を経て、マーケット基準手法を2つの方式に分け、企業が現行の方式を未定の期日まで使えるようにする方向性を示した。方向性は、Scope2の技術作業部会がさらに詰める。

2025年10月から2026年1月まで意見を募った改定案は、マーケット基準手法で報告できるエネルギー属性証書を、電力の消費と1時間ごとに一致し(時間単位のマッチング)、企業が電力を使う地域の送電網に供給できる(供給可能性)ものに原則として限るとしていた。同プロトコルは、現行の方式では自社の事業活動とつながっていない送電網にあるクリーンエネルギー事業から削減を報告でき、排出量の報告の正確さと信頼性を下げると説明する。

意見募集には約1,100件の回答が寄せられた。時間単位のマッチングを求める案への支持を5段階で聞いた設問では、回答909件の70%が支持しないか支持が低いと答え、企業の回答429件では82%だった。同プロトコルによると、回答者の意見はおおむね、時間や送電網などをそろえた算定で企業の需要が新しいクリーン電力を支えやすくなるとする考え方と、年単位のマッチングと広い地域の範囲が市場への参加の障壁を小さくするとする考え方に分けられる。

事務局は、2つの考え方に対応する2つの方式をISBに示した。方式1は供給可能性と時間単位のマッチングに加え、一定の年数内に建てた発電所の電力に限る要件(新設の要件)を取り入れる。方式2は2015年のScope2ガイダンスの要件を保ち、実現可能性や市場への参加をめぐる懸念に応える。ISBは7月の会合で、要件と主張がそれぞれ異なる2つの方式を設ける考えに過半の支持を示した。

9月の方向性では、マーケット基準手法で報告する企業に、未定の期日までは方式2での報告を認めつつ方式1での報告を推奨し、どちらを使うかの開示を求める。期日の後は、同手法で報告する企業に、品質の基準を満たすデータがあれば方式1での報告を求める。マーケット基準手法での報告そのものを義務・推奨・任意のどれにするかは決まっていない。ISBは、マーケット基準で報告しない電力の調達を、別の作業部会が検討するGHGインパクト・ステートメントか、排出量以外の主要な指標として報告しうるとした。

技術作業部会は10月中にワークショップを開き、供給可能性や新設の要件、適用の時期などを話し合う。改定案は、Scope1・3などの案とまとめた2027年第2四半期の意見募集にかけられる予定で、ISOとの共同の企業基準は2028年第4四半期に公表される計画だ。

【プレスリリース】GHG Protocol「Scope 2 Market-based Method Update: From 2025-2026 Public Consultation to Current Status」
【参照サイト】GHG Protocol「Scope 2 Public Consultation Summary」

この記事をシェア

この記事を書いた人

Springl編集部

サステナビリティ推進担当者のためのメディア Springl の編集部です。制度・開示・調達・社内浸透まで、実務の現場で起きていることを、一次情報に当たって書いています。